一殺多生

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『正体が分かっていれば奴を木っ端微塵にしてやれるのだがな……』 「ち、ちょっと待って!」 じっと社を見つめていた桃井桜子が口を開いた。 『何だ?』 「彼女は私の……仲間なのかもしれないの……」 『主は、自分の知らない者なら死んでも構わないが、知り合いは駄目という愉快な思考を持っているのか?』 「そ、そういう意味じゃ……」 『では問おう。どういう意味なのだ?』 狐ヶ崎天音の回答不可能な問いかけに、やはり桃井桜子は答えることができなかった。 『まあ良い。それが人間という生き物なのだからな。』 狐ヶ崎天音は心底楽しそうに微笑んだ。 しかし、桃井桜子はそれに笑みを返すことはできなかった。 『主の思いに免じて、死刑だけは勘弁してやろう。しかし、こちらも住み処を破壊されたんだ、相応の処罰は受けてもらわねばなるまい。』
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