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そんなことを思っていたら数日後のホームルーム、ついに席替えになった。
…この時をどれほど待ったことか。
「じゃあクジを窓側の列から引いてけー」
先生は気だるそうに言って席の番号を書いた紙の入った袋を教卓の上に置いた。
「えーと…私の席は…」
どうか平穏無事に過ごせる席になりますように…
せめて高橋君から離れられますように…
心の中でそう祈りながら私はクジを引いた。
「皆引いたなー?じゃあ自分の番号の席に移動しろー」
その先生の声で皆はざわめき、移動を始めた。
私の席は一番後ろの窓際の席だ。この席なら目立つこともないだろう。
クジ運のない私にしては運が良かった。
なんて思ったのが間違いだった。
席に着いた私は段々近づいてくる背の高い男子を見て目を見張った。
―――――――――――まさか、
その男子、高橋春樹は私の隣の席に座った。
――――――――――嘘でしょ…
思えば、嫌だと思っていることに限って起こってしまうものだった。
私は自分運の悪さを呪った。
よろしくね、くらい言った方がいいだろうと私はそう思いながらも彼に声をかけられない。
男子に対して変に意識してしまい、緊張してしまうのと、自分の地味さに因る気後れのせいだ。
結局、何も声を掛けずホームは終わった。
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