逝って見よう

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夜中の3時頃、良い子は今頃夢の中、悪い子は遊んでいる時間帯にその男はある道路にいた。 いや、道路の脇に生えている木の上に居たというのが正しいだろう。 何故彼がそのような場所に居るかと聞かれれば、彼の職業故の行動だろう。 その職業と言うものもすぐに分かるようになる。 さて、そろそろ彼にピントを合わせてみよう。 何故彼にピントを合わせるかって? 簡単だ 彼が物語の“主人公”だからだよ それでは、私は此処らへんで失礼するとしよう。 最後にこの物語をお楽しみくださいますようにお祈りしております。 俺はずっと木の上でとある人物を待っていた。 いや、とある人物と言うよりもターゲットと言ったほうが正しいだろう。 しかし時間になってもターゲットは現れず、背中に嫌な汗が流れる。 頭の中で考えないようにしていても場所を間違えてしまったのではないかという嫌な事を考えてしまう。 だけど今更そんな事を考えていても仕方がない。 だからこそ俺は違う事を考えて待つことにした。 そして頭の中に一番最初に浮かんで来た事は 何で・・今まで読んでた小説が終わるんだよ・・・ そんな事しか浮かんでこない自分になんとも言えない気分になる。 だが、わりかし重要な事だったので、頭のなかでその小説を思い返していると俺の耳に少し離れた所からコツコツと言う足音が入ってきた。 ・・・来たな 今まで考えていた事が頭から消し、集中する。ただただ集中を、息すらするのを忘れるくらい集中を・・・ そしてターゲットが下を通り過ぎたらすぐに木から飛び、降りている途中に懐から念入りに研いだナイフを取り出す。 そして音もなくターゲットの後ろに着地し、片方の手で口を押さえもう片方の手に握っているナイフを頸動脈に当て 「ッフ」 一息に頸動脈を切り裂いた。 ターゲットから吹き出てくる液体で周りが赤く染まっていく。 赤い液体が絶えずターゲットから流れ続けその内ターゲットはぐったりと動かなくなった。 口を塞いでおいた手を退けてターゲットを地面に寝かす。 そして逃げるために俺は走りだした。
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