命に価値なんて無い

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庭にいる雀を捕まえて鳥かごに入れた幼い思い出 鳥を飼うお金なんかなかったからゴミ回収に出されていた鳥かごを拾ってきて部屋に飾っておいた はじめは満足だったけど次第に鳥も欲しくなった だから庭にいた雀を捕まえて鳥かごに入れた 近付くと慌ただしく狭い鳥かごの中を飛び回り柵にあたる 餌をあげるお金はなかった 親に頼む勇気もなかった 雀は学校から帰ると動かなくなっていた ばれないうちにと庭に穴をスコップで掘っていたのを母親に見つかった その日生まれて初めて打たれた 「命は一つしかないの! 大事にしなきゃいけないの ………私の息子だからきっと」 母親はそれだけ言うと抱き締めてきた 泣いていた母親の涙の意味がまだ分からなかった それから二人で穴を掘って小さな墓を作った 死と言うものも分からなかった 命の尊さも知らなかった 幼さと言うよりきっと歪んでいたんだ  
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