どうしようもなく長いプロローグ

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電話の主は中学を卒業してからも連絡を取り合う数少ない友人である幼馴染からだった。 「もしも…」 「私だ。」 「お前だったのか…。で、どうした?」 「ライブがあるんだけど、ヴォーカルがいてなくて出ない?」 「詳細は?」 「曲はPIERROTのコピーするつもり。メンバーは、今の所俺と従兄」 PIERROTとは、少し前に流行ったヴィジュアル系バンドだ。 何故女の自分に、とは思ったものの。 自分自身このバンドは好きだったのと。ライブをしたいと言う願望の方が勝ってしまい、結局引き受ける事にした。 「また、曲とか決まったら連絡して。」 「了解。んじゃ、また。」 電話を切ってから、彼の事を思い出して少し気分が憂鬱になる。 そんな時は、決まって歌を歌う。念入りに体をほぐして、MDデッキで近所迷惑も甚だしい音量で曲をかける。 体からも濁った気分も爆発するような感覚が好きだった。
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