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と、俺が思い出に浸っていると、不意に冬樹が思い詰めたような顔で口を開く。出て来る言葉は酷く可愛らしい。
「休憩なら俺のところに来い。」
ん、とだけ答える。
「雑談したいときも、俺のとこ。」
うん、と頷く。
「タバコ吸いに行くときも、誘え。」
おう、と笑いかけてやる。
命令口調の"お願い"は、酷く可愛い。もう、盲目でも何でも良い。俺は、こいつが好きだ。ただ、好きなだけ。
「な、冬樹。」
手をとって、指先にくちづける。
「……なに、」
拗ねた声。そこに不機嫌さはもう、ほとんど無い。指先に口づけたまま、爪に染み込ませるように、言葉を紡ぐ。
「好きだ、好き。」
すきだよ、ともう一度呟いて、冬樹を見上げれば、拗ねたような、照れたような表情があって、絡んだ視線にニコリと笑えば、眉間のシワが、ふっと無くなったのが見えた。
了
砂が吐けますね。
なんだこのバカップル。
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