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「姫様がダンスが苦手とは初めて聞きました。
幼少の頃から姫様のダンスの才能は高いとよく言われていましたからね」
「・・・謙虚な姫様ですこと。わたくしには苦手とおっしゃていたのよ、ね、そうでしょ?」
「・・・・・・」
もはやどっちの味方につけば良いのかわからなくなったルイディアナは困り顔でルッツの顔を見上げていた。
「もう、よしましょうか。
単刀直入に聞きます。
これはあなたが体罰を加えた結果だとお見受けしますが?」
「そんな証拠がおありになって?
さきほども言ったようにこれはただの事故でできた傷でしてよ」
「なら、姫様の体を調べさせて頂いてよろしいですか?
それでもし他の痕が見つかった場合は・・・」
「それをわたくしがつけた証拠がありませんわ!もしかしたらルッツ様、あなたが加えた傷じゃないのかしら?
それを新参教師のせいにしようなどとお考えなのでは?」
「馬鹿げた事を・・・なら」
普段の穏やかな微笑みを一片も残らず消したルッツは、鋭くそれでいて禍々しい美しさを醸し出す瞳でマリベーラを睨みつけた。
まるで蛇に睨まれた蛙のように身動きする事を忘れたマリベーラ。
そんな彼女にルッツはそっと近づく。
「これは、何に使うつもりですか?」
間近で見るルッツの美しさに思わず見惚れているうちに、いつの間にかルッツはマリベーラのポケットから素早く制裁用の棍棒を抜き出していた。
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