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「たっく、どこのどいつだ。
うちの可愛い姫さんにこんな事をしたヤツぁ!」
医療室で、白衣に似合わぬ無精髭をはやした男が、ルイディアナの腕についた沢山の痣を見て声を荒げる。
「先月雇ったばかりの作法の教師ですよ。
まあもう辞めましたが」
付き添いのルッツが王室専属医であるザックスに説明する。
「あたりまえだ!生徒に怪我させなきゃ物も教えれんような教師は辞めちまえ!」
乱暴な言葉をはきながら、ルイディアナの手当は優しく丁寧にほどこす。
「でも、そこまで悪い先生じゃないの!ただちょっと私が物覚えが悪いせいでこうなっただけで・・・」
「姫さんも姫さんだ。
痛いなら痛いとちゃんと主張しろ!
怪我を放っておくと、とんでもない事にだってなりかねんからな!」
「うう、はい」
しみる消毒液を足の傷にぬられながら、姫は素直にうなづく。
「さて、腕や足以外はもうないか?」
「・・・」
ザックスの質問に即答せず黙り込むルイディアナ。
「あるみたいだな。どこだ?」
沈黙が答えとなり、ザックスは眉をひそめる。
「背中と・・・お腹」
言いにくそうに小さな声でつぶやくルイディアナ。
それを聞いた瞬間、ザックスとルッツの顔は険しいものへと変わった。
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