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「どうやら体罰って言葉じゃおさまらねーみたいだな」
「本来なら、王族に手をあげたとなれば死罪なんですけどね」
「姫さん、今からでも遅くねーぞ。処罰を変えた方が良い」
「だ、大丈夫!全然対した事ないから!!」
恐ろしい形相の二人がとんでもない事をしでかしそうな気がしたルイディアナは慌てて首をふる。
「姫さんの言葉だけじゃ信じれねぇからな。
おい!レオナいるか!!」
「はい」
ザックスの呼び声に、カーテンで仕切られたベット室から、無機質な女性の声で返答があった。
「ちょっと、そっちで姫さんの傷を見てくれ」
「はい」
ルイディアナはザックスに背中を押され、自分の意思とは反しながらカーテンの向こうへと移動した。
「脱いで下さい」
カーテンの向こうには、背中までの長い黒髪を首下で束ねた白衣姿の女性、レオナがいた。
レオナに言われるまま、衣服を脱ぐルイディアナ。
「背中に鞭で叩かれた痣が三か所。
あばらのあたりを棍棒で殴られた痣が左右に一ヶ所づつ。
肩に本のような角で叩かれた痕が一ヶ所あります」
淡々とした声で、カーテンごしに報告するレオナ。
「思っていた以上だな。
ちょっと、ヤッってきていいか?」
「自重して下さい。姫様はそれを望まれていません」
物騒な事を言うザックスに、制止の声をかけるルッツだが、彼の声もまた怒りで震えていた。
「レオナ手当してやれ」
「もう完了しました」
手際のよいレオナは、すでにルイディアナの処置を終えていた。
そしてしばらくすると衣服を着直したルイディアナが、カーテンを横に引きながらザックス達の前に姿を現した。
「姫さん、しばらく休め。
最低でも3日は予定を入れないように。
出来るなルッツ?」
教育係兼姫の予定管理をしているルッツは当り前と言うような顔で頷く。
「で、でも・・・」
「でももかしこもねぇ!そんな体中痣だらけで一カ月も普通に生活してたんだ、心身ともに負荷が多すぎる。
いいな、体と心の傷を癒すためにも何もしない時間が必要なんだ。
これは医者としての見解だ」
姫としての勉強だけでなく、外交などにも顔を出す義務のあるルイディアナは長期休暇する事に不安を感じていた。
しかし、それを専属医としてザックスが命令する。
「わかりました」
観念して頷くルイディアナに、ザックスはさっきまでの神妙な顔から一転してにやりと笑った。
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