第二話 姫と専属医

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「姫さん、ここだ」 そう言ってザックスが案内した場所は、大浴場ほどの大きさの舞台だった。 舞台上にはまだ幕が下ろされていたが、その前に置かれた観客席となる椅子は半数が人で埋め尽くされていた。 「わぁ・・・!」 舞台を見たルイディアナは歓喜の声をあげる。 城内一階に造られた劇場には、連日有名な劇団が入れ替わりで来る事で有名だった。 その為、王族も有事の際に観覧に来る事はあったが、それほど頻繁に来る訳でもなく ルイディアナにいたっては産まれてから記憶にある限りでは二度しか来た事が無い場所だった。 「今なかなか良い演目がやってんだ。 だから姫さんにも一度は見せたくてな。 内容が少々激しい部分があるから、こうでもしねぇと姫さんは観に来れねぇだろ?」 性的描写や犯罪行為の表現が一部でもある演目は、例えどんなに有名な劇団が演じたとしても教育上良くないと言う理由で姫が観覧する事は許されなかった。 その為にルイディアナが演劇を観覧した経験が少なかったのだ。
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