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本来ならルイディアナの部屋の前にいるはずの護衛騎士が、他の観客に紛れるようにして立っているのが気になりながらも
連れ戻されない事に安心したルイディアナは、ザックスから飲み物が入った木椀を受け取りながら舞台正面に向き直った。
「食ってみろ。うめぇから」
そう言ってザックスは手に持った布包を一つ渡す。
「美味しそう!」
包みを開くと、炙った馬肉とチーズ、菜を間に挟んだ焼いたパンが入っていた。
上には香ばしい匂いを漂わせる特製のタレがたっぷりと塗られている。
「こうやって開いて、そのまま端っこからかぶりついて食え」
ザックスは、パンの端っこだけ出るように布包みを開いて見せる。
「こう・・・?」
普段では絶対にしない豪快な食べ方を教わったルイディアナは、大きく口をあけてかぶりついた。
「ふはっ!ちっせぇなぁ姫さんの口は」
タレが口の周りについたルイディアナの姿に、ザックスは思わず吹き出す。
「そーゆー時は、この布の端で拭うんだ」
ザックスは布包みを開いて余った部分を指差す。
「なる程!これは包みの役割だけでは無くて、布巾の役目も担っているのね」
真面目なルイディアナは感心して頷いた
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