第二話 姫と専属医

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「ああ、そうだ。 お嬢ちゃん名前は?」 話が一段落し、レイは椅子に座り直し化粧を再開したが ふと思い出したようにルイディアナに尋ねた。 「私はルイ・・・」 「ルイ!コイツはルイって言うんだ!」 本名を言いかけたルイディアナをザックスは慌てて、言葉を被せる事で遮る。 「ルイ?男みたいな名前だね」 「お前もだろーが」 とっさについた偽名にレイは不振そうな顔をするが、ザックスのツッコミに「あぁ」と苦笑しながら納得した。 「お嬢ちゃん、一応名前は覚えといてあげるよ。まあ名前を呼ぶ事は無いだろうけど」 化粧箱をパタンと閉じながら、レイは冷たく言い放つ。 「ほんとお前はひねくれてんな」 レイの性格を知っているザックスは苦笑する。 「ありがとうございますレイさん。 とても楽しい一時でした」 そしてルイディアナは、そんなレイの態度も気にせず最高の笑顔でお礼の言葉を送る。 「こちらこそ」 レイのその言葉を最後に、ザックスとルイディアナは控え室を後にした。
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