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狂牙が洞窟を去って2日。
一向に帰る兆しのない狂牙に、美桜は不安を募らせていた。
洞窟の中、美桜は膝をかかえて呟く。
「おなか、すいた…」
いつもなら、狂牙がどこからか食材を持ってくるのだが、今日はそうもいかない。
「…町へ、行こうかな」
食材を調達するため。
そう言って美桜は、山を降りた。
町は活気づいて賑わっていた。
美桜は、目を輝かせて辺りを見渡す。
物を売りさばく声。
誰かの笑い声。
町へ来るのは、初めてだった。
ずっと来てみたかったけれど、狂牙は連れて行ってくれなかった。
「お前は、目立つからな」
いつも、そう言って。
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