そして、桜が全てを狂わせて。

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―――時は戦国。 そこでは人間と妖怪とが、共存していた。 黒髪、長身、容姿端麗。 戦国の大妖怪、狂牙(キョウガ)は洞窟を出掛け、永久桜(トワザクラ)を訪れた。 だが、冬でも年中咲き乱れる永久桜の木の下で、彼は目を見開いた。 快晴の下、響き渡る産声。 永久桜の木の下で、白地の布にくるまれた、可愛らしい赤子。 彼は、その赤子を自らの住まいである洞窟へと連れ帰った。 冷酷非道の大妖怪、狂牙がその赤子を拾ったのは、果たして運命だったのだろうか。 狂牙は、女児であったその赤子に、美桜(ミオ)と名付けた。 由来は永久桜の木の下に、満開の美しい桜の木の下にいたからだ。 「きょ…うがぁ」 嬉しげに微笑んだ美桜を見て、残酷な大妖怪である彼も、その時だけは流石に顔がほころんだ。 やがて、その赤子は、子供から“女性”へと変わる。
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