危機

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寒く暑くもないとは言え裸な上に場所は敵地の ど真ん中と言っていい状態の その状況 二人共、眠るにも眠れず ウトウトしては起きる繰り返し そんな中、静が気が付いた 「歩君?」 短く苦しげな息遣いと熱い体 「ちょっ・・・ねぇ!!」 大声を張り上げると、ゆっくり見張りが顔をあげた。 「熱がっ・・・」 悲痛な叫びをあげる見張りは そのまま再び知らん振り それでも声をあげていると日本人の男が やってきた 「どうにかしてあげてよっ」 「・・・骨が折れてんだ。熱が出る事くらい 本人も、わかってんだろ」 「なっ!!」 静が声を詰まらせる 「あぁ・・・でも・・・使えるなぁ」 「ちょ!?」 男がニヤリとして歩を担ぎ上げ静が驚くが男は静に目もくれずに そのまま出て行ってしまった。静はズルズルと移動して、足を下ろそうとしたものの、体勢を崩しベットから落ちた。 そのまま這って扉へ向かう。 見張りの男が 横目で見るも 別に動く風でもない。 息を切らして扉に辿りつくと微かに声が聞こえてくる 「歩君!!」 叫んでいると見張りがやってきて首を押えつけられた 「うるさい・・・お楽しみ中。うるさい」 「あっがっ・・・・」 苦しくて足掻く。頭が ぼんやりしてきた頃 首を離されると酸素が欲しいのに咳き込んで上手く吸えずに涙が落ちた。ゲェゲェ言いながらも少しずつ脳味噌にも酸素が回る頃 一つハッキリとした叫び声が聞こえ 驚愕の顔を扉に向けた。その後は聞こえてはこなかった 扉を見つめていると、男が静の腕を取り引き摺って扉から放された 「な、何・・・してるの・・・」 涙目になった静が男に問えば 男は ニヤニヤと下品な笑いを浮かべただけだった 「あ、歩君は?」 「大丈夫。殺されたりはしないね。アンタも行くか」 ニヤニヤ笑いは止まらず静は ゾッとした。それを感じたのか 男が嫌な笑い声で 小さく笑って ソファーへと戻っていった 静は床の上のまま、歩を思って涙が毀れた
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