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その時、何処かで重い扉の開く音がして ゆっくり閉まる音と足音。
男が無言で現れ目の前に毛布を置いてから、来た方へと戻らずに奥へ行く。
歩が動いて通路を覗こうとしたが見えなかった。毛布を鉄格子の間から腕を出して取って一枚を静に渡し一枚で包まって再び静に背中合わせに座った時だった
叫び声
二人して通路を見つめていた
叫ぶ声が近付いてくる
嫌だ。放せ。と言う類の言葉が反響している
さっきの男が一人の若い男を羽交い絞めにして引き摺って目の前を横切る
見えなくなっても声が聞こえていた
そのうち扉の音がすると聞こえなくなった
「・・・なに・・・あれ」
静が、青ざめる
「・・・・・・他にも、いるんだ。多分・・・」
黙りこんだ静
歩が立ち上がって鉄格子に 引っ付いた。やはり見えはしなかった
「誰か、いるの!?」
微かに音が聞こえた気がした
「ねぇ!!ここは何!?」
やっぱり音はしたが返事はなかった。
「・・・お願いだよっ。わかんないまんま連れてこられたんだ!」
すると、ボソボソと声が聞こえだした
「知っても、同じだよ・・・出れはしないし・・・」
「ここは何?」
「さぁね・・・皆言う事違うし・・・すぐ戻らなくなる奴もいるし」
どうも、声は扉寄りの方から聞こえるようだった
「貴方は・・・何か・・・」
「聞くな・・・もう話す事はない」
その後は、もう何を言っても返事は無かった
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