160人が本棚に入れています
本棚に追加
prologue
春目前
とは言え、まだまだ上着は手放せず寒い一日もある中
慣れない土地へ来ていた
強面の人間達が談笑しているのを 遠巻きに見ていると 同じく遠巻きに それを眺めていたらしい 子供が近寄って来る
「きれーな人」
にっこりと笑う子供の方が綺麗だ。と静は思った
「こんにちわ?あんまし綺麗なんて言われてもね」
「あ、男の人?」
「そうだよ」
車に寄りかかった静の横に その子も寄りかかって、談笑している人間達を見て口を開いた
「あ、黒谷さんとこの静さん?」
静が名前を呼ばれた事に驚いて顔を見た
「当たり?」
「あぁ・・・何で?」
「天満さんが話してたの聞いた事あるから。龍と仲いいトコの人が すっごい綺麗だって」
ニコニコと静を見上げる
「君は・・・」
「歩。あ、女の子じゃないよ?あと、一応子供じゃないよ?」
「えっと、歩君?」
「夜も来る?」
「え・・・」
にこにこと笑顔を向けてくれる歩に どうしたらいいのか困惑する
「あ、行くみたい」
歩が走り出す
小さめの背中を見ていると長身のいい男に纏わりつく
最初のコメントを投稿しよう!