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既に、会場はガヤガヤと騒がしく いかつい男達の集団に華やかな女もちらほら見える
静は、大きく嘆息した
近い位置からも同じような息を吐いたのが聞こえたので ふっと見れば昼間に出会った歩が同じように手持ち無沙汰に立っていた。歩もこちらに気が付き表情がパッと明るくなり歩み寄って来た
「静さん」
ニコニコして腕をとられて ちょっと驚く
「あ、来てたんだね?」
「良かった、逢えて。こんな人多いから無理だと思ってたんだ」
にこにこと来る歩に戸惑いつつも愛らしく懐いてくるのは単純に嬉しかった
二人で話しながら食べ物を摘んだり飲んだりして 仲良くなっていく
「静さんは元々関西の人じゃないの?」
「え?」
「だって。」
「あぁ、何だろうね。小さい頃は関東にいたんだよ。そのまんまの言葉だね」
ふーんと答えながら周りを見渡す
「何か、疲れちゃった・・・出てきてもいい?」
「あ、じゃ僕も行くよ」
二人連れ立って広い広い大ホールから通路へと出た。大きなホテルの通路。通路さえも広い
同じように息抜きなのか ちらほらと あちこちで談笑している強面に姉さんと呼ばれそうな人間が見えている
「こんだけいると、これが普通みたい」
くすくすと笑いながら、ゆっくりとエントラスの方へ歩く歩の後ろを歩く静。
「ね、何で君は・・・」
エレベーターの側まで来たところで静の言葉に知らない人間の声が重なる
「静さんと歩さん?」
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