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教室に入ると、既に半分くらいの生徒がいた。
僕は挨拶を返しながら自分の席に着き、窓からグランドを見下ろす。
グランドの周りには何人もの女の子たちが集まっていて、練習に夢中な亮太に熱い視線を送っているようだ。
「うわ、相変わらずすげーなぁ」
僕より遅く教室についた徹もグランドを見下ろし驚いている。
日々女の子は増えていて、減ることはない。
なんだか嫉妬しちゃうよね。
「モテる恋人を持つってのも大変だな。」
乾いた声で笑う徹。
想像以上のモテっぷりに驚いてるようだ。
「浮気とかなきゃいんだけど」
やっぱり亮太は女の子の方が好きなんじゃないかって不安になる。
「浮気?それはないだろ。…あ、でも」
徹が言葉を濁す。
何となく視線をグランドに戻すと、亮太にタオルを渡している女の子が目に入った。
「…あの子、サッカー部のマネージャーの真紀ちゃん。めっちゃ美人で有名なんだけどさ、どうも亮太を狙ってるらしいんだよ。」
…真紀ちゃん。
亮太から一度その名前を聞いたことがあった。
同じ一年生でマネージャーで、とても親切で頼りになる可愛らしい子だって。
「あの子今までも何人かの意中の男の子仕留めてきたって噂だからさ、気をつけた方がいいかもな」
僕と徹の目には、タオルを受け取って汗を拭いている亮太と、嬉しそうに話しかけている真紀ちゃんだけがうつっていた。
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