エピローグ

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「あっ!」 俺の後ろで、男の刑事が声を上げる。 大通りの先に止まる真っ赤なスポーツカーが、その先に在る跳ね橋に向かってスッと走り出す。 その後ろから、撮影用のパトカー数台がサイレンを鳴らしながら追うように走り出す。 スポーツカーの先で跳ね橋がゆっくりと開き出し、壁のように立ち上がって行く。 一気にバイクを加速させた俺は、交差点に塞き止められた車を縫うようにヒラリヒラリと躱しながら交差点の中に突っ込む。 「ピピピィィィ!!!こらあぁぁっ、貴様ぁぁ。何やってんだぁぁっ!!!」 警官の笛が鳴り響き、怒声が響き渡る。 スポーツカーが少しスピードを上げ立ち上がる跳ね橋を登り始める。 どうやら、パトカーに追われた竹内涼子と井上弘の乗るスポーツカーが、跳ね橋を飛び越えるというシーンの撮影らしい。 後ろを追うパトカーの先頭が跳ね橋の手前にさしかかる。 更にバイクを加速させた俺は、パトカーを右に左にシュシュッと躱し跳ね橋に突っ込んで行く。 割れた跳ね橋の中央で、竹内涼子と井上弘が乗ったスポーツカーがスピードを緩める。 俺は二人の乗ったスポーツカーに追いつくと、シュンッとバイクを右に振る。 バイクがスポーツカーの右に並ぶ。 「幸せになれよっ……」 二人の記者会見の映像を見た時、二人は何故か一緒になると感じた俺は前を見つめたまま言葉を放つ。 撮影現場に現れた二人の姿を直に見た俺は、その言葉を二人にかけずにはいられなかったのだ。 その瞬間、二人が乗ったスポーツカーが跳ね橋の中央で止まる。 俺はバイクのアクセルを更に捻り加速すると、跳ね橋の先端からバッと飛び出した。 目の前には、太陽がキラッと光りを放っている。 空中でリアを右に流し、スッと左に車体を倒した俺はフッと後ろを振り向く。 そして左手をハンドルから離し体を捻ると、眩しそうに眼を細め俺を見上げる二人に視線を送りフッと笑った。
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