エピローグ

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ーーーー竹内涼子sideーーーー ーー「撮影が終わったら、俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか……」 今回の撮影で出会って数日した時に突然、弘くんから私は告白された。 映画の記者会見前から極秘に撮影が始まって三ヶ月、一緒に過ごした弘くんはとても良い人で、私は少しずつ弘くんを男性として意識し始めている。 でも、心の奥底に何故かわからないが一つのわだかまりがあり、一歩を踏み込めない私がいる。 そして今日の、警察に追われた私達二人が車で開かれた跳ね橋に突っ込んで飛び上がるというラストシーンの撮影で、映画の撮影が終わろうとしていたーー 歓声を静め、助監督の怒鳴るような「よぉぉい、スタートっ!!」の声がかかりスポーツカーがスッと発進する。 「涼子ちゃん。あの事は、ゆっくり考えてくれれば良いから……」 ハンドルを握る弘くんが前を見たまま穏やかなトーンで言った。 その時、私達の車を追ってくるパトカーのサイレンの中に、一台のバイクが急速に近づいて来る音がする。 なにっ?…… 「なんだ、あいつ……」 ミラーをチラッと見た弘くんが、ポツリと口を開く。 私と弘くんが乗った車がゆっくりとせり上がる跳ね橋に入る。 あっという間に近づいて着た一台のバイクが私達の車に並ぶ。 「幸せになれよっ……」 私が座る右の助手席に並んだバイクに乗った白いライダースを着た男の人が、前を向いたまま言葉を放つ。 「えっ……」 その言葉に私は思わず声を漏らす。 この人……なんでっ?…… その瞬間、弘くんがブレーキを踏み跳ね橋の中央で車を止める。 バイクはそのまま跳ね橋の先端に向かって加速して行く。 うそっっ!!…… 「ウソだろっっ!!」 弘くんが声を上げる。 次の瞬間、私と弘くんの目の前でバイクが跳ね橋の先端から飛び出した。
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