SPECIAL.THANKS

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「空ぁぁ……あんた、何やってんのっ。テツの、邪魔しちゃダメでしょっ。ちゃんと、おじいちゃんとおばあちゃん、悟くんにおはようしたっ?」 玄関から出て来た美優が、空に向かって声をかける。 「あっ、おかちゃんっ!うん、ちゃんとおはようしたよっ」 空は美優に向かって元気にそう言ってニカッと笑った。 「それなら、よしっ」 美優はそう言うと、空にニコッと笑いかけ手招きする。 空が駆け出し美優の脚にバッと抱きつく。 「オヤジ、帰ってくんの今日だっけ?」 俺は美優に視線を向けると尋ねる。 オヤジとはもちろん、文さんの事だ。 「うん、予定は今日だけどどうかなぁ。文のやつ、テツにほとんど仕事譲ってから海外ばっか行ってるんだからっ」 今度は美優がふくれっ面になる。 美優が言ったように、文さんは彫文游藝所をほとんど俺に任せると、最近はルークと一緒に海外を飛び回り日本の伝統刺青の施術を世界中の彫師に披露していた。 麗香はそんな文さんにたまについて回ってる様子だ。 彫秀さんはすでに彫文游藝所から独立し、自分の作業場を開いている。 彫光さんは未だ彫文游藝所にいて、独自の雰囲気を醸し出している。 信ちゃんも彫文游藝所に居る。 今でも、俺と切磋琢磨して刺青の腕を磨いている。 すでに結婚して、二人の子持ちだ。 カッペは未だに独身だが、今や弁護士先生という立場になっていた。 本人いわく、めちゃくちゃモテるらしい。 「まあ、いいんじゃねぇのっ」 俺はニッと美優に笑顔を見せ、暖気を終えたスーパーカボに跨がる。 そして、ギアをガチッと一速に入れるとゆっくりとスーパーカボを走らせる。 「頑張れぇぇ……二代目、彫文っ!!」 俺の後ろで美優が声を上げる。 「おうよっ!!」 俺は左手をスッと上げて返事した。
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