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街の様子を見ながら暫く走り、ガソリンを満タンにして再び走り出す。
今日は何も起きなくて平和だ……
ちょっとその辺で一服でもするか。
俺はバイクのアクセルを戻しスピードを緩め、生き残ってるコンビニに近付く。
道の反対側で、伸びきった髪にボロボロの服を着たおっさんが、道端に座って何か食ってる。
ん?おにぎり?……何だあのおっさん……
コンビニにバイクを停めると、おっさんがニコニコ笑いながら俺に手招きしている。
知るかおっさん、俺に関わるんじゃねぇよ。
無視して自販機で缶コーヒーを買い、一口飲んでタバコに火を点ける。
ふと見ると、おっさんがバイクのタンクに手を置き、ニコニコ笑いながら此方を見て立ってる。
「おいクソジジィ、俺のバイクに汚ねぇ手で触んじゃねぇ。」
おっさんは何事も無かった様に、人懐っこい笑顔で話し掛けてくる。
「兄ちゃん、良かバイクに乗っとんなぁ、懐かしかねぇ。」
このおっさんの言葉……九州弁か?
「おっさん、テメェおにぎり食って手洗って無いだろうが。」
おっさんはニカッと笑いながら言った。
「そぎゃんことば男がいちいち気にしなんな、おなごにモテんばい。」
面白いおっさんだな。
俺は何故だか、この調子良さそうな九州弁の変なおっさんが、悪い気はしなかった。
「うるせぇわ、このクソジジィ。」
俺は呆れた様にニヤリと笑い、タバコを啣えた。
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