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まだ眠る近藤さんの隣で正座した沖田は寝顔を見つめていた。
時々、布団をかけ直しながら、しばらく見つめていると、近藤さんが静かに息をはき瞼を開けた。
沖田 「近藤さん!!」
思わず叫んだ沖田を見て、苦笑いする近藤は「飯は食ったか?」と優しく尋ねる。
近藤は分かっていたのだろう…。自分だけ、食べてなんかいられないという沖田の心情を…。
近藤 「ちゃんと食べないと、いかんぞ。」
沖田 「た、食べてますよ。今日だって、新八と争奪戦なんかして…」
と言いかけた時、沖田は自分の目から涙が滴り落ちているのに気付いた。
それを見た近藤は、まるで小さな子供を慰めるように、頼りない腕を伸ばし頭を軽く撫でた。
近藤 「心配かけて、すまんな。もう、本当に大丈夫だから、ちゃんと飯を食べてくれないか。逆にそっちが気になって、治るもんも治らんさ。」
近藤さんは、何もかもお見通しか…。
参ったな…。
近藤さんを心配してる僕が、逆に心配させて、何してるんだろう…。
近藤さんは、いつもそうだ。
僕が初めて近藤さんの所に来たとき、周りから嫌われて、御飯もろくに食べさせてもらえなくて、そんな僕を、いつも自分の握り飯や芋を持ってきてくれたんだ。
自分よりも他人を想う、そんな近藤さんだからこそ信じられた。ついていくと決めたんだ。
それなのに、情けないよ僕は…。
その後、沖田は近藤が寝るまで側にいたあと、自分の部屋へと戻っていった…。
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