僕の想い

6/6

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
翌日、沖田が朝早く道場に行くと、竹刀を持ち精神を集中させ打ち込みをはじめた。 まだ誰も来ていない道場は、ヒンヤリと冷たく、静かで一人で考え事をするのには十分な場所であった。 竹刀の軋む音と共に、風を切る音が響き渡る。 一心不乱に振っている沖田の姿を近藤はしっかり見ていた。 沖田は気付いていないが、少し後ろで近藤は腕を組み、その姿を見つめる。 そして、沖田が最後の一振りを下ろした頃、ようやく後ろの近藤の存在に気が付く。 近藤 「さすがだな。総司。竹刀が泣いていたぞ。」 沖田は近藤に近付き一礼する。 沖田 「もう、平気ですか?」 近藤 「ああ。総司の介抱のおかげで、もうこの通りさ」 ブンブンと腕を豪快に振りながら、ハハハと笑って見せる。 沖田 「よかったです。あまり無理しないでくださいよ。近藤さんに何かあったら死んでも死にきれませんから。」 近藤 「死んでも死にきれんか。こりゃ、意地でも健康でいなくちゃならんな。」 そうですよ…。 僕は近藤さんにまだまだ教えてもらわなければならないことが沢山あるんですよ。 近藤さんに返さなくちゃいけないものも沢山、残ってるんですから…。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加