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土方 「こぉらー!総司!いい加減にしやがれ!」
屯所中に響き渡る土方の怒鳴り声に誰もが何事かと振り返るものもいれば、部屋からヒョッコリ顔を出すものもいる。
風のごとく駆け抜けていく土方の先に、用を足した沖田がちょうど出てきたところであった。
血相を変えてやってくる土方を嘲笑うように見つめる沖田。
沖田 「なーんだ。その様子じゃ、もうバレちゃったんですか?全く、土方さんって面白くないんですから」
土方 「総司!!」
皮肉をいう沖田を睨み付け、さっきよりも怒声を上げた。
それもそのはずだ、土方さんが大切にしまっておいた俳句の入った木箱を総司が何処かへ 隠したからだ。
土方 「どこへやったか言わないと斬るぞ。」
沖田 「斬るだなんて止めてくださいよ。別に隠してなんてないですから。僕が安全な場所に置き換えただけですよ。」
土方 「それを、どこかへやったってこったろーが!」
土方さんが、あまりにも怒るので、仕方ないですね~。と呟きながら沖田は、広間に向かった。
土方 「おい、本当にここにあるんだろうな。」
沖田 「ええ。」
障子を開けると、そこに広がっていた光景は、土方さんの頭を混乱させるものだった。
目の前に広がる光景…木箱は開けられ、その周りに集まる隊士達、笑いをこらえるのに必死で、まだ土方さんが来たことに気づいちゃいない。
それを目の当たりにした土方さんは怒りに震え、今までにない怒鳴り声を屯所中に撒き散らしたのであった。
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