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言い争っている内に、車は巨大な屋敷に入っていった。恐ろしく広い駐車場に止まると玲菜は車から降り、ひかるの手を取って外に連れ出した。
「ここは?」
警戒しながらひかるが訊くと、玲菜は私の家だと答えた。
「中に入って。そしてその頭を爆発させるから」
「い、厭だ」
「物分かりが悪いのね。どの道あなたは死ぬ――いえ、政府の見解ではあなたはもう死んだものとして扱われている。なら死ぬのが少し早まっても、何も問題はないじゃない」
「まだ、助かる道はあるかもしれない」
第一なんで君は地球を破壊するんだ――ひかるが叫ぶと、玲菜は強い意志のこもった目でひかるを射竦めた。たじろぎながらも、ひかるは続ける。
「僕が――本当に、どうしても――死ぬしかないなら、政府の作戦の方が筋が通ってる。君の考えは地球を文字通り滅ぼしてしまう。だったら、僕は――」
「自分が死ぬっていうのに、他の人間のことを考えるの? とんだお人よしね」
「それは――当たり前だろう。家族や友達がここには生きてるんだよ?」
「いないわ」
沈んだ声だった。
「もう、そんなものはいない」
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