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壁も床も天井も、全てが白一色。あまり広いとは言えない部屋の中央に置かれたひかるが眠っていたベッドも真っ白である。さらに言えばひかるの着ている服も男子高校生にしては少し可愛すぎるのではないかと少し恥ずかしくなるパジャマではなく、真っ白な羽織るだけの服である。入院患者のような格好だ。
ひかるは普通に混乱した。至って普通の反応である。起きたら知らない場所にいたとなれば、戸惑うしかない。
ドアがあったので外に出ようとノブを回したが、外から鍵がかかっているらしく開かない。仕方なくベッドに腰かけ、天井を見渡した。よく見ると監視カメラらしきものがあったのでそちらを見て何かを言おうとした。音声も伝わるのかはわからなかったが、ものは試しだ。
「あのー」
結局、悩んだ末に出たのはそれだけだった。困っていますよ、というアピールにはなっただろうか。
するとすぐにドアが開いた。ひかるは驚いて飛び上がりそうになりながらもそちらを向き、相手を見た。
白髪頭と、顔を覆う白くなった髭が特徴的な男だった。
「おはよう、曽根川ひかる君。私は『院長』だ」
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