恐怖!こんなところ

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「爆弾は脳の奥深くに仕掛けられ、現代医学では摘出は不可能だ。さらには無理に取り出そうとすれば即爆発する仕組みになっている。そして地球外生命体からのメッセージによれば、その威力は地球が完全に消し飛ぶ程だという」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「まあ落ち着きたまえ」 「いや無茶言わないでください! 話が滅茶苦茶じゃないですか!」 「残念ながら全て事実なのだよ。その爆弾は時限式になっていて、爆発は今からおよそ百六十時間後――一週間だね。勿論、政府はこのまま地球が滅びるのを見過ごす訳にはいかない。そこで、爆発する直前に君をロケットに乗せ大気圏外に停滞している未確認飛行物体にぶつけるという作戦を考案した。これならば邪悪な地球外生命体も危険な爆弾も同時に処理出来る」 「それって――結局僕は死ぬんじゃないですか!」 「曽根川ひかる君、君は殺されたんだよ。その頭の中に爆弾を仕掛けられ、今の君は人間ロボットなんだ」 「そんな――そんな馬鹿な話があるか! 僕は今こうして生きてます! 院長、あなたは狂っているんだ!」 「これは政府の決定事項だ。君の命一つと、地球全体、どちらが重要か。少しでも考えれば、わかるだろう?」  ひかるは愕然として、力なく崩れ落ちた。  そして、ひかるが普通だったのは過去のこととなったのだ。
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