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何も考えないように、ベッドの上で死んだように固まっていると、甲高いサイレンが響いた。さらに耳を済ませると、低い音が近付いてくる。
爆発音が轟き、白い部屋の壁が粉々に吹き飛んだ。
「案外簡単に見つかるものね」
白い煙の中、光を放つ束ねられた金髪。見た目は上品だが動きを邪魔しない服装。目には黒い頑丈そうなゴーグルをはめ、腰の辺りではなんだかよくわからない機械を両手で抱えている。空いた穴が前を向いているので、恐らくはこれが壁を粉砕した武器なのだろう。
その人物はゴーグルを外し、髪を解き放った。
ひかるはあっと息を呑む。ひかるを圧倒する程の美しさを彼女は放っていた。年齢自体はひかると大して変わらないのだろうが、その身体から溢れ出す気品はどう考えても同年代とは思えない。
「曽根川ひかるね?」
頷く。
少女はそれを見ると、すぐさまひかるの手を取った。そしてそのまま全速力で駆け出す。
破壊された壁の向こうには、同様に破壊され壁をぶち抜かれた通路が広がっていた。
「ちょ、ちょっと待って! 何考えてるの?」
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