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「黙って走りなさい。みすみす殺されたくなんてないでしょう?」
それはその通りなのだが、少女の意図が全く掴めない。
殆ど一直線に、二人は通路を駆け抜けた。本来は曲がっているらしかったが、少女が直線上の壁をことごとく破壊し尽くし、真っ直ぐな道が出来ていた。
外に出ると、黒塗りの見るからに高級そうなセダンが滑り込んできた。後部座席のドアを開け、少女が無理矢理ひかるを中に押し込める。その後で少女が乗り込み、車は急発進した。
「一体何がどうなってるの!」
ひかるは猛スピードで走っていく車の中、隣に悠然と座る少女に言った。
「君は誰なんだ。何が目的なんだ。僕をどうするつもりなんだ」
「私は上之宮玲菜。目的は地球を破壊すること。あなたの頭の中の爆弾を爆発させようとしている」
これでいいかしら――と玲菜は平然と言ってのけた。
「よくない! 全くよくない! 僕を助けてくれた訳じゃないのか!」
「宇宙に飛ばされるのと、地球を破壊するの。後者の方がいいでしょう?」
「前者も後者も駄目だよ! どっちも僕は死ぬんじゃないか!」
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