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僕は高校へ進学するとき、母さんにキッパリと「携帯は要らないから」と告げた。
「家計、苦しいんだよね? だったら僕は携帯は要らないよ」
そう、僕の家は経済的にはとても裕福とは言えない。
母さんは困ったような、悲しそうな顔をしながらも、僕に「ありがとう」と言った。
ああ、僕は本当は、母さんのこんな顔を見たくない。
でも、メールを受信することのない携帯を持っているのが辛いから、なんて口が裂けても言えない。きっと、高校に入っても、僕は1人だから。
僕は臆病だ。
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