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「あ~あ。マズイぞ、アンタ。」
「どういうことだ?」
「見てりゃ分かる。」
そう哀れみの視線を向けながら成澤恭介はあたしに告げるとそこからはもうスローモーションのようだった。
あたし達がいる雰囲気を感じたのか、要とその男はゆっくりとこちらへと振り返った。
それはもう待ってましたという目で。
「ほら、見ろ。
アイツら何かするつもりだ。」
隣でボソッと呟く成澤恭介。
だが、その言葉をしっかりと聞きとることは出来なかった。
「成っ那留!!!!!」
「あっ!!柳瀬!!成澤!!」
教室中に響き渡るような大声で名前を呼ばれたからだ。
「…………おい。成澤恭介も呼ばれてるみたいだけど?」
「俺、やっぱ便所行ってくるわ。」
2人の声を聞き成澤恭介も呼ばれていると告げると、教室へと向いていた自分の足を180度反対へ向けトイレへと足を運ばせる。
すると、逃がすまいと言った表情をしながら机と机を上手くすり抜け成澤恭介を羽交い締めにした要ともう1人の男。
「待て。お前ら、冷静になれ。
何企んでんのか知んねぇけど俺は関係ねぇんだ。
連れてくならコイツだけにしろ。」
とあたしを指さしながら必死に逃げようとする成澤恭介。
「いや、逃がさへんぞ成。 お前にはいてもらわな今回はあかんねん。」
「そうだぞ成澤。諦めて俺達と同行する方が身のためだ。」
そして必死に逃げようとする成澤恭介に説得の言葉を並べる要と男。
明らかに顔がニヤけてるけど。
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