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「わはったわはった!!
わはったから手離ひぇっ!」
「よーし!!じゃあ今度はちゃんと聞けよ?」
あまりの痛さに必死で懇願するあたしを見て、パッと引っ張っていた手を離す木下。
…………かなり痛い。
赤くなった頬っぺたを優しく手で撫でていたあたしにあと一回しか言わんからなと言ってもう一度話しだす要。
長々と説明をする要の話を簡単にするとつまりこうだ。
まず、俺達は寮生活だから恋人だって作れないしまず出会いがない。
そして回りには男しかいないからかなりむさ苦しいということ。
ということで木下が今度の土曜日に隣の市にある女子校との合コンを開こうと言い出したのだ。
木下が知り合いの女の子に掛け合った所見事オーケーしてもらえたが、人数は4対4だそうで。
そこで足りない2人の部分を埋めるためにあたしと成澤恭介を誘おうと考えたらしい。
その話をダルそうに聞いていた成澤恭介はさらにゲッソリとした表情になる。
「勘弁してくれよ。
頼むから他を当たってくれ。俺、合コンとか嫌いなの。」
「まぁそう言うなよ成澤。人数合わせなだけだからマジ頼むよ。」
ウルウルと瞳を揺らしながら頼む木下を見ていると要がふとあたしに質問する。
「那留は?成はまぁ決定事項やけど那留ももちろん参加するやろ?
男磨きのために。」
…………男磨き?
その言葉に那留の体はピクンと反応する。
男磨きって。
それはもしかして合コンに参加することでより男らしく、より強さを得ることができるということか?
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