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確かに。
あたしはいつまでフルネームで呼んでるんだろうか……。
でも、なんだか。
「あ、じゃねぇし。」
なんだか呼びにくいんだよな……。
要だって木下だってすぐに呼べたけど、成澤恭介は何か違うっていうか…
服を握り締めて俯いていると、雰囲気を感じとったのか成澤恭介が呆れた声を出して言う。
「わかったわかった。
無理して呼ばなくてもいいからさ。
ま、慣れたら呼んでくれたらいいよ。」
いつもめったに笑わない成澤恭介が笑う。
「ま、アンタに呼んでもらうのなんかあと100年はかかりそうだけどな。」
「そんなことないけど……」
嫌味っぽく言ってきた成澤恭介に否定の意思を示す。
……あ、何かわかった。
何で成澤恭介を呼び捨てできないのか。
お互い距離を置いてるから?
あたしは成澤恭介をフルネームで呼ぶし、
成澤恭介はあたしのことをアンタって呼ぶ。
だから………、なのかな?
そんな風に考えていると、何だか寂しくなった。
「ほら、早く着替えろよ。」
「あ…………うん。」
成澤恭介から声をかけられても2つ返事で答えることしか出来なかった。
何かモヤモヤするなぁ。
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