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後をついてくる蹄の音は少ない。
麾下の者が十数名追って来ているだけだった。
それでも、まだ終わったわけではない。
各地に配属した兵と合流し、関城にて籠城、反撃の機会を待つ。
逃げ落ちた兵を収容し、魏軍に一矢報いる。
彊川口で楊欣(ヨウキン-魏の将・トウ艾の先鋒)に追いつかれたことは厄介だったが、これだけの打撃を受けることは想定済みだった。
もともと、撤退戦に犠牲はつきものだった。
それに今は兵の被害よりも時間こそが優先される。
すでに漢中(カンチュウ)に鍾会率いる十余万の軍勢が侵入しているという。
時間を置けば、すぐに成都(セイト-蜀漢の都)が危険にさらされるだろう。
姜維には蜀漢の大将軍として、鍾会の軍勢を引き留める責務があった。
駆け続けた。
馬の息はとっくに上がっていた。
関城まで退き、諸軍と合流して鍾会の軍に対抗する。
今姜維に見えていることは、それだけである。
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