まえがき

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劉備は関羽と張飛なる豪傑と義兄弟の契りを交わして、漢朝再興のために立ち上がった。 時に一八四年のことである。 二百年の月日は残酷で、漢朝の権威が廃れては宦官(生殖器を斬り落とした男性)が跋扈(バッコ)し、黄巾党が国家転覆を図り蜂起した。 曹操や孫権のように漢朝を見限る者も現れ、己の欲望に従って領土を広げて利権を欲しいままにした。 それに対し劉備は拠って立つ地もなく各地を放浪し、戦に明け暮れる日々をおくっていた。 胸にただひとつ漢朝再興の灯を燈して。 紆余曲折を経て、劉備は曹操や孫権と相容れぬ道を歩むことになり、赤壁の大決戦(二〇八)、夷陵の戦い(二二二)の火蓋が切って落とされるのである。
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