まえがき

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そんな偉業を成し遂げた姜維に対し、トウ艾(ガイ)という難敵が出現し立ちはだかる。 九度の北伐に失敗した姜維は沓中(トウチュウ)で屯田(兵による耕作)を始める。 蜀漢では旧き悪しき習慣である宦官制度が蔓延し、中央は衰退を続けていた。 黄皓という宦官が劉禅に寵愛され、もっとも権力を有している姜維を目の敵にし、讒言(ザンゲン)を繰り返した。 九度目の北伐に失敗した姜維は中央に戻るよう命令されるが、軍権を剥奪されることが目に見えていたので、無視して沓中に留まった。 二六三年、姜維が沓中という中央とも漢中とも寄りつかない前線に駐屯していることから、魏の権力者・司馬昭は蜀漢が脆弱になっていることを見抜き、今こそ蜀漢を討ち滅ぼせという号を発する。 鍾会(ショウカイ)が十余万の兵を用いて長安から漢中へ、諸葛緒(ショカツショ)が祁山(キザン)から武都(ブト)へ、トウ艾が狄道(テキドウ)から沓中へ、三方から進軍する。 沓中にいた姜維は魏の大規模な南征を察知し、蜀漢を守らんとして疾駆することとなる。
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