入学式

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「工藤先生っていい先生だよな」 下校途中に祥浩が何度か口にする。 「そうだね、若いのに生徒のことをしっかり考えてくれてる」 僕も5組の担任が彼でよかったと思う。 何故担任が門にいた人だと言われたときに、恐れなかったのか今分かったような気がした。 工藤先生は独特な雰囲気をもっているのだろう。 「若いからこそかもしれないけどな」 祥浩が付け加えながら話を続ける。 「そういえば、和真は5組の生徒みんな見てみたか」 「うーん、僕が座ってた席より前に座ってた子は少しだけど見たよ」 「じゃあ窓側の1番前に座ってた浅倉って子も見たな」 「うん、あの少し小柄な子が浅倉さんって言うんだ」 和真も印象に残っている。 後ろに座ってる子よりも頭1つ分低かったからだろうか。 「浅倉さんって去年小4だったらしいぜ」 「ふーん、って小学4年生」 驚きのあまり声が大きくなってしまう。 「帰り際に声かけてみたんだ、そしたら去年まで小4だったって言ってた」 たぶん僕がトイレに行ってたときだろう。 「それじゃあ飛び級ってことになるね」 「だな、俺たち入学初日に変わり者に会えるなんてすごいな」 初日に全く初対面の子に話しかけた祥浩も普通にすごいよと、心の中で和真は思った。 まもなく彼と別れて和真は自分の家に向かった。
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