誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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「そんな……じゃあカーターは黙って2人が別々になるのを見送るつもりですか!?」 まさかカーターがここまで非協力的だったとは思っていなかった優也は無意識の内に熱が込もっていた。 だがそれにはきちんとした理由があり、カーターはそれをもう自分でも理解していた。 「私だって力になれるのなら何だってしたいです。ですが何年あの家に仕えていようが……結局は他人なんですよ。そんな他人が主に楯突くなど、やるだけ逆撫でするようなものです」 そう悔しそうに理由を話され、俺は自分が勝手に熱くなっているのが恥ずかしくさえ思えてきた。 そうだった……この人は口では他人と言いつつも常にあの2人の幸せを第一に考え、一緒に過ごしてきた時間は家族となんら変わりないはず。 けれども2人の両親とは仕事上の都合で逆らうことは出来ない。 俺たちはまだ雇い主に雇われるという関係を体験した事がないから好き勝手に言えるが、カーターやボブはもう大人としてそれを理解している。 「すいません……俺、なんにも大人の事情を知らないのに口出ししたりして」 そこでやっと優也も頭が冷え、先程の熱と非礼を反省しながら電話の向こうのカーターに頭を下げた。 「いえ、優也様が謝る程ではありません。それに私もボブもどのみち離婚が成立すれば解雇されてしまう予定なので、出来る限りのお節介はしてみようと思っています」
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