誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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だからこそ千佳は最初から自分は無理だと決めつけ、心の中に感情を閉じ込めていた。 そんな千佳の気持ちに気付いたのが舞であり、こうして追い詰めるような事をしていた。 「あなたが誰かと優劣を決めるのが嫌いなのは知っているわ。けれども……失ってから気付いても、もう遅いのよ?」 それは自分が体験しているからこそ言えるもので、そんな千佳は全くの正論に唇を噛み締める。 「だけど……本当は私どうしたらいいか分かんない。急にお別れなんて未だに信じられないのに」 「またそうやって逃げるつもり?それとももう後がないって聞こえなかったのかしら?」 やけに棘のある言葉に千佳も沸々と込み上げるものがあるらしく、何か言いたげな表情を舞は見逃さなかった。 「優也さんは優しい人よ。きっとこんな千佳を見ても大丈夫って声を掛けくれるでしょうけど……また甘えるのかしら?」 そこでとうとう千佳はプツンとし、自分をけなされた事よりも優也を掛け合いに出された事が許せなかった。 「そんなの……そんなの嫌に決まってるよ!本当は私だって舞ちゃんみたいに堂々としたい!それに……」 千佳はもう迷わなかった。 ありったけの声を張り上げ室内にこだまする程の声量で舞と智恵にこう叫ぶ。 「私だって優也君の1番大切な人になりたいよ!」
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