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やっと素直になった千佳に舞は満足そうな笑みを浮かべ、もうそこには先程のような厳しい女性はいなかった
そして智恵も黙ったままお茶をすすっていたが、どこか安心したような雰囲気になっている。
「ふふっ。やっと千佳の口から聞けたわね。まったく、本当に世話の掛かる娘なんだから」
そう言って舞は千佳を優しく抱き締めると、智恵も羨ましそうに眺めたのち……無言でその輪に加わった。
「さて……それじゃあ千佳の愛する優也さんを助けるために、私たちに何が出来るのか考えましょうか」
ようやくここで自分が舞の魂胆に引っ掛かったのだと気付いたが、何故か体が軽くなったような気がし、より一層気合いも入った。
「けど舞ちゃん?私の愛する……じゃなくて、私たちの愛する優也君を助ける方法だよね?」
してやったりと言いたげに笑顔でそう千佳はそう訂正したが、智恵が珍しく溜め息をついて小さく呟く。
「なんだか優也がとっても悪い人みたい……」
そんな会話につかの間の笑顔が戻ったが、まだ本題が解決したわけでも良い案が浮かんだ訳でもない。
それでも3人は不思議とこの危機を乗り越えられると確信していた。
「今までたくさんあった危機だけど、今回は1番みんなの気持ちが1つになってるんだもん。絶対に大丈夫だよね」
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