誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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だがそこには機嫌の悪い稚咲も一緒で、どうやらリビングでテレビを観ていたらしく俺もなんとなくそのテレビに視線を移した。 内容は昔別れた旦那が離婚した理由に納得がいかず、復讐心で母親の1人娘を誘拐するというサスペンスドラマであった。 最初は稚咲の番組チョイスを疑ったが、これがなかなかに面白く、ちょっとだけだと思って観ていたがついつい時間を忘れてそれを最後まで観ていた。 「良かった……娘さんが無事で本当に」 そして俺と同じく最後まで観ていた稚咲からの評価も高く、エンディングでは感情移入し過ぎて自分の娘が助かったかのように瞳をウルウルさせている。 こんな母親みたく娘を大切にするような人がいればこんなに悩まなくても済むんだけどな……。 優也は染々そう思ったところで時計の針をチラシと確認すると、もう10時を指していた。 さてと……明日も早いしそろそろ寝ますか。 そう思いながら優也は席を立った瞬間……自分のしでかした愚かさに気付き本日2度目の近所迷惑を無視した叫び声を上げるのだった。 なにしてんだ俺は……。 なんで普通にくつろぎながら妹とテレビ観賞してエンジョイしちゃってるんだよ。 しかし過ぎた時間は取り戻せるはずもなく、優也は急いで自分の部屋で明日からの事を考え始めた。
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