誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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「そう……でも警戒することに越したことはない」 それはそうだけど……すでに危機的な俺にちょっかいを出してくるような暇人はこの学園には居ないだろう。 ただ智恵は意外と本気だったらしく、一階に行くまでに辺りをキョロキョロと見ながら俺の後をついてきた。 それからすぐに教材を取り、会議室から出たところで智恵もようやく安全だと分かったらしく、再び俺の方を見つめながら歩き始める。 「そういえば卒業式の話はまとまりそうなのか?」 そしてこのまま無言で別れるのもついて来てもらった智恵に悪いと感じた優也は何気なく話題を振る。 その話題は以前優也が偶然にも聞いてしまった話の内容で、あれからどうなったのか少し気になっていた。 しかし智恵は無言で首を横に振り、その理由を話し出す。 「優也の事もあってあれからほとんど進んでない。けど私も舞も考えは変わらない」 「そっか。けど会長を説得するのはかなり至難の業だぞ?何かそれなりの訳がないと諦めてくれないんじゃないか?」 両方の意見はどちらも分かる気がするが、それでも会長が相手となると強引に負かされてしまいそうだからな。 しかも俺の経験上かなりの高確率でそうなると思う。 優也も半ば優希の意見が最終的には通るのだろうと予想していたが……智恵は再び首を横に振った。
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