誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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「次の卒業式は必ず千佳に任せる。もしそれが駄目なら……私は生徒会を辞めるつもり」 その発言はかなりの衝撃を与えたが、ただ驚くだけでは失礼だと思った優也は出来るだけ表情に出さないように再度訊ねる。 「そこまでして千佳に任せたい理由があるのか?」 智恵が辞めると言えばきっと本当に辞めるだろう。 だからこそここで俺で取り乱しても智恵の決めたことを否定してしまう結果になるかもしれない。 そして優也もこの生徒会を支持する1人としてその理由を知りたかった。 「千佳は将来この学園の太陽になる人だから。優希たちには安心して卒業してもらいたい」 「千佳が……太陽」 それはなんとも大きな役割だったが……不思議としっくりくるのは気のせいではない。 千佳なら本当に……あるいはそれ以上の存在にきっとなれるはずだ。 智恵はそんな千佳に卒業式を任せ、今の3年生たちに安心して卒業してもらいたい訳か。 それだけの考えがあるなら俺は智恵を応援しないとな……。 そう優也は考えたところで、いつの間にか智恵が自分の制服の袖を掴んでいた事に気づく。 「だから……優也には絶対に千佳の晴れ舞台を見届けてほしい」 つまりはこの問題を無事に乗り越えてくれって事か。
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