誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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しかし……。 それはもちろん分かっているつもりなのだが、実際にはまだほとんど何をしていいのか分からない状況だと優也は正直に話した。 「それは駄目。今日中には絶対に決めて」 声のトーンこそは変わらないが智恵もかなり焦っているらしく、厳しく優也に釘を打つ。 だが優也も色々とは考えているが案が浮かばないのも事実なので、更に智恵に相談を持ちかける。 「確かに家族の問題に関わるのは無粋。それでも優也はやらなくちゃいけない」 智恵はここまでくるともう励ますという事はせず、ありのままの現実を伝える事に徹していた。 そんな智恵の言葉は見事なまでに優也の心にグサグサと刺さり、その場で深く考え込む程であった。 もし俺の家族問題に仲介者として誰か別の人が現れれば絶対に良い印象はあげられない……それならば絶対条件は俺が影から何かをすることだけ。 影から出来ること……。 そんな真剣に悩む姿に智恵もだんだんと不安になり、優也の袖を少し引っ張った。 「時には逃げてもいいから、あまり気負いしないで」 智恵もこれ以上の優也の苦しそうな表情は望んでいないため、少し話題を変えようとした時であった。 「逃げるって言われてもな……俺にはもうそこまでの時間が……」
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