誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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「はい。それはもう十分に理解してます」 電話越しでも分かる優也の真剣な声にカーターは一つため息をした後……。 「分かりました。今回ばかりは優也様だけに任せては成功できる兆しはないようですからね。このカーターにお任せください」 優しい声色の中にしっかりと決意が汲み入れられており、優也も相手は見えないが深く頭を下げた。 本当に……どうして俺の周りにはこんなにも心強い仲間たちがいるんだろうか。 それを考えるだけで目頭が熱くなるが、まだそう感慨に浸っている暇もない。 俺はこれから……というよりは明日の事を大まかに伝えると、カーターは急なお願いにも関わらずしっかりと頷いてくれる。 「分かりました。では車の運転はボブの方に任せますので、ご両親の方は私にお任せください」 「はい。じゃあ俺は学園でボブが来るまで待機してるんで、2人の両親が到着次第また連絡してください」 最初は突貫工事のような策だと俺自身も思っていたが、どうやらそれは間違いだったのかもしれない。 確かに1人だと無理に決まっている事でもこうして協力してくれる人がいるなら……不思議と成功するという気持ちが溢れてくる。 そして優也たちの話し合いは終わった頃には授業も終了していたのだが、先生の説教も今日だけはなんだか良いものにも感じてしまうのだった。
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