誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

34/74
前へ
/611ページ
次へ
それを含めて優也は一から説明するため皆の注目が集まるホワイトボードの前へと立った。 「みんなよく聞いてほしいんだけど、俺は至って正常だし、ましてや今日が最後の日だなんて絶望もしてないから」 前提としてそうでなければ誘拐なんて発言は正気の沙汰じゃないことくらいは俺だって分かる。 だからみんなにはまず俺が退学の期限に焦っているという誤解を解きたかった。 しかし優也の考えは虚しく優希の一言で散ることとなる。 「お前が正常なのは分かった。だが私の知る優也は誘拐というワードを軽々しく口走る人間でなかったことは確かだ」 くっ……やっぱり会長はそう易々とは逃がしてはくれないか。 本当は言葉を濁して一緒に逃げると言う手もあったが、結果的に見てしまうとそれは誘拐と何ら変わりない。 それではいざ皆に本当の事が知られた時に俺が嘘を付いていたとすぐに分かってしまう。 だからこそ最初から俺の明日するべき行動の真実を伝えた。 やっと一つにまとまってきたこの団体をそんな安い嘘で絶対に壊したくはないから。 「会長……確かに誘拐は人間として絶対にやってはいけない事なのは百も承知です」 「それが分かるならそんな冗談を言うのはやめろ。今は1分1秒も無駄には出来ない……」
/611ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7683人が本棚に入れています
本棚に追加