誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

37/74
前へ
/611ページ
次へ
それは優希が許しを出した瞬間でもあったが、それと同時に優也は頭を下げ千佳の目には涙が浮かんでいた。 「どうして優希ちゃんが許すの!?会長だったら生徒の安全を第一に考えるのが当然なんじゃないの!」 いつになく取り乱す千佳だったが、優希はいつも通り冷静に切り返す。 「確かに私はここの生徒の長として優也の安全には必ず全力を尽くさなければいけない……だからこそ許した」 その説明に納得のいかない千佳は勢いよく立ち上がると、断固として引き下がらない姿勢で優希に噛みつく。 「そんなの説明になってないよ!もしも私が会長だったら絶対にこんな案は認めない!きっと他にいい案があるに決まってるよ」 千佳の必死な反対はそれから数分続いたが、とうとうそれは優希の一言で幕を下ろすことになる。 「千佳……それは本当に生徒全員を考えて発言しているのか?お前は……優也だからそんなに必死になっているんじゃないのか?」 「………………」 優希もここまで追い詰める事は言いたくは無かったが、逆にそれを言わなければこの不毛な言い合いは明日まで続いていたに違いない。 千佳もそれを否定することは出来ず、優希を強く一瞥すると……そのまま何も言わずに生徒会室から飛び出した。
/611ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7683人が本棚に入れています
本棚に追加