誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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「はぁ……まったく。本当にあなたたちはよく似てるわね。今の千佳ったら優希が会長になる前にそっくりじゃない」 そして千佳がいなくなった生徒会室では舞がやれやれと言った様子で千佳の出ていったドアを眺めていた。 「そうか?私はもっと丸かった気もするが……よく自分では分からんな」 「優希は冗談がキツい。今でも丸いどころかトゲトゲのカクカクなのに……というのは嘘だから席について」 今にも飛びかかろうとしているのを察知したのか、智恵は自分から仕掛けた言葉をすぐさま訂正した。 そんなやり取りに優也はついていけず、何事かと3人の会話を無言で耳に入れる。 それに気付いた舞は、苦笑いしながらも優也に分かるように声を掛ける。 「ごめんなさいね。でも優希もようやく千佳に生徒会長を任せる決心が出来たみたいだから、先輩からの最後の教えって事で温かく見てもらえると助かるわ」 「最後の教えって……まだ千佳に何か教える事があるのか?」 俺からすれば千佳ほどリーダーシップがとれる人材はいないと思うし、頭もよくて性格もかなり良い女の子のはず。 むしろどうして会長が千佳にたすきを素直に渡さないのか今でも疑問に思っているくらいだ。
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